アキレス腱断裂診療ガイドラインが改定?その意味とは?(2007→2019?)
アキレス腱断裂の治療ガイドラインの改定の動きが以前からありましたが、先日インターネット上でも公表されました。
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2007年にアキレス腱断裂のガイドラインが作成されましたが、このガイドラインで治療結果である再断裂率に関して、「保存療法は手術療法に劣る」と書かれています。
つまり保存療法のが再断裂率が高いので危険な治療法であるという意味です。
しかし、後になってこのガイドライン自体に問題があることがわかってきました。ガイドラインは医学的根拠がしっかりしていて信頼度の高い論文(エビデンスレベルの高い論文)を何千何万も集めて作成されます。とても大変な作業だと思います。
しかし、問題があったのはガイドラインで最も高く評価していた論文です。
当時エビデンスレベルⅠ(医学論文の中で最も信頼度が高いことを表します)の世界的に評価の高い論文でした。その論文は2005年にKhanが発表したTreatment of acute achilles tendon ruptures. A meta-analysis of randomized, controlled trials.です。
この論文は無作為比較化試験といって、最もエビデンスレベルの高い信頼できる方法で研究がされていました。しかし、その治療内容に問題がありました。手術療法と保存療法とで異なる治療スケジュールで患者さんを治療していたのです。
これでは無作為比較化試験で、せっかく患者さんを無作為に手術、保存と分けていってバイアスを無くしていっても、「そもそも手術と保存で治療方法が違うので、治療結果が違って当たり前でしょう」というのが自然です。
後に無作為比較化試験で治療方法も手術と保存で全く同じ方法で治療結果を比べたエビデンスレベルの高い論文がたくさん発表されました。そこでは手術療法と保存療法との間に再断裂率に差はないとしています。今から10年も前にアメリカ整形外科学会ガイドラインで発表されていましたが、日本ではすぐには早期加速リハビリ保存療法は広まっていきませんでした。
あれから10年経ち、やっと少しずつ接骨院や医療施設にも「早期加速リハビリ保存療法」の技術が確立されてきました。実際に私が担当した患者様も剣道、フットサル、陸上、バレーボールなど多くの方が元のスポーツレベルでスポーツ復帰しています。
もしアキレス腱断裂をしてしまったら、ちゃんとした実績、エビデンスレベルの高い医学根拠、民間療法にない確かな専門技術、この素晴らしい治療技術を是非実感していただきたいと思います。
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